さくらの乳がん闘病記

転移した癌が神経に影響し、目がおかしくなり、声が出にくくなった。それでも元気に生きてます。

子供を諦める決断

 

子供の頃、大人になったら当たり前に手に入ると思っていたものが、実は簡単に手に入らないものなんだと気付くことがあります。


それは人それぞれ違うものだと思うけど、多かれ少なかれ、みんなありますよね?

 

子供の頃に思い描いていた通り、全てを手に入れてる人なんているんでしょうか。


きっといないですよね。


みんな、何かしら思ってたのと違う… ってことがあると思う。


私の場合は、子供です。


小さい頃、大人になったら自分も当たり前にお母さんになるものだと思っていました。

 

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私は昨年40歳になりました。


33歳で乳がんが見つかり、治療を始める前に1番心配だったのは、死ぬことよりも子供が産めないかもしれないということでした。


結婚式を挙げて新婚旅行に行って、その翌月にシコリを見つけました。


これから幸せな家庭を作るぞって時に、いきなり地獄に叩き落とされたような感覚でした。


子供が欲しかったのに、それどころか自分の命がどうなるかも分からない状態になりました。


順調に治療を終えても、38歳になってしまう…


それでも子供が欲しかったので、抗がん剤を始めるまでの僅かな時間で受精卵の凍結をしました。

 

排卵が不規則なのもあって、凍結できた受精卵はたったの1つでした。


でも、この1つの卵のおかげで、辛い治療も頑張れました。


御守りのような存在でした。


手術、抗癌剤放射線、ホルモン治療、全てやりました。


リンパ節への転移もあったので、本当はホルモン治療を10年やった方がいいと医師には言われましたが、子供が欲しいからと5年で終わらせる予定でした。


2018年の4月から妊活を始めようと計画していました。


その時点で38歳になってしまうので、年齢的にギリギリだと思っていましたが、希望は捨てていませんでした。


でも、2018年1月の定期検診で、肺と首への転移が見つかってしまいました。


あと3ヶ月でいよいよ妊活だ!と張り切っていた矢先だったし、再発するなんて心配すらしていなかったので、まさに寝耳に水でした。


自覚症状は何も無かったので…。


また治療が始まってしまい、まずは自分の命が優先、子供の事は諦めるしかない状態になりました。


でも、凍結した受精卵はそのままにしていました。


凍結をやめる決心がつかなかったからです。


もしかしたら奇跡が起きて、癌が消えちゃうかもしれない!そうなったらこの受精卵が必要になるかもしれない。


無理に気持ちを切り替えて廃棄してしまったら、後で後悔するかもしれない。


それが怖かったので、自分の中で決心が付くまでは、そのままにしておこうと思ったんです。


年間の凍結料は安くはなかったですが、払い続けていました。


お金で解決できるなら安いものだと。


でも、どこかでそんな奇跡は起こらないだろうと薄々分かっていて、半分諦めていた気もします。


でも、ホルモン治療をやめて、ずっと止まっていた生理が戻った時、急に気持ちが不安定になりました。


生理が戻ったのだから妊娠も可能なのではないかと思ったら、いてもたってもいられなくなったのです。


乳がんの手術をしてくれた信頼している女医さんに相談に行きました。


でもその相談は、もちろん良い方向に進めたらそれに越したことは無いけど、どこかで無理だと分かっていて、誰かにハッキリ「無理です。」と言ってほしかったのかもしれません。


自分の中で気持ちの区切りを付けたかったんだと思います。


その女医さんは、丁寧に言葉を選びながらも、私の今の状態では子供を作る事はすすめられないと言いました。


分かってはいましたが、涙が出ました。

 

 


その後、夫とも話し合い、今の主治医にも相談した結果、40歳になるのを期に凍結の延長はしないことに決めました。


とても辛い決断でした。


私の人生の中で1番辛い決断だったかもしれません。


たった1つの受精卵ですし、もし私の体内に戻したところで、妊娠できる可能性は低かったかもしれません。


でも、希望の卵でした。


未来の子供を失ったような感覚でした。


自分の遺伝子を残したい気持ちはもちろんありましたが、それよりも何よりも夫の子供を産みたかったです。


私が奥さんなせいで、健康な夫が子供を持てないことは、本当に申し訳なく思います。


とても優しくて素敵な夫ですし、きっと良いお父さんになったと思います。


今の生活は幸せですし、夫がいてくれれば他に何もいらないと素直に思えますが、ふとした時に寂しくなります。


自分の子供に会いたかったし、何より夫の子供に会いたかったです。


今も完全に諦められてはいない気がします。


でも、それでいいと思っています。


いつか自然に割り切れる時が来るかもしれない。


それを気長に待ちたいと思います。

 

 

 

◆病歴・治療の過程はこちら

◆片目が開きづらくなった経緯はこちら

 

 

 

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